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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


翠の瞳の私がまっすぐにこちらを見返し、



「あの男に触れられた瞬間から、おまえの命運は決まっていた」



思わず問い返す。



「どういう意味……?」



そして――
映る私の唇が、音にならない囁きを刻んだ。
















「……五条の名を背負う者に、心を許すな」


(……え?)


思考が止まる。
どうしてその名前が。



「……っ、なにそれ……」



小さな声で否定した瞬間、差し込んだ朝陽が“翠の瞳”を淡く洗い、像は静かに滲んで消えていった。


気づけば、映っていたのはただの“私”。
昨夜の幸福の余韻を抱いたまま、裸足で立ち尽くす――ただの“私”だった。


私は震える手で、そっとガラスに触れる。
冷たい感触だけが、現実だった。


(どういう意味……?)

(先生のことを言ってるの?)


どういうこと?
なんでそんなことを言うの……悠蓮。


でも。



どうして。


(……なんで、こんなに……悲しいの……)


わからない。意味も、理由も。




その時――



「……?」



寝室の奥から聞き慣れた声がした。
低くて優しい、大好きなあの人の声。


私の足元には、朝の光が差し込んでいた。
窓から漏れる細い光が、まるで境界線のように床を走っている。


あっち側と、こっち側。
昨日までの私と、今日の私。


なにも変わらないはずなのに。
なにも失っていないはずなのに。
でも、否定しきれない“花”が、小さくも確かに芽吹いてしまった気がした。


先生の声がもう一度、私を呼ぶ。


考えたくない。


今は、私を呼ぶあの声がすべてだった。
あの大好きな温もりがまだ残っている場所へ。
あの愛しい笑顔が待っている場所へ。


私はその声にすがるように、寝室へと駆け出した。 







……ねえ、先生

わたしは、あなたを――













──第二部「力の覚醒編」 了。
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