第17章 「花は蒼に濡れる**」
「我慢できなくなっちゃった」
甘く囁かれたその瞬間、ごつん――と奥を突き上げられる。
「っ……あ゛っ……! や、あっ……」
痺れるような衝撃に、背筋が震えた。
口元がゆるんで浅く開いた唇から、声が漏れて止まらない。
潤んだ瞳がうまく焦点を結ばず、上気した頬に髪が張りつく。
身体の奥からとろけた甘さがあふれて、表情を隠す余裕なんてなかった。
「……その顔、好き」
「僕に気持ちいいとこ突かれて、ふにゃーってなってる顔」
恥ずかしいことを言われているはずなのに、お腹の奥が痺れるみたいに疼く。
(やだ……私、また……)
知らない感覚がどんどん広がっていく。
頭の中も体もふわふわして、何も考えられない。
そして、またひとつ深く押し込まれる。
「……っ、ひゃ……ん、んんっ……!」
その声を聞いた先生が、ふっと笑う気配がする。
「……かわいい」
「初めてなのに、僕に……いじめられて、かわいそー」
その意地悪な言葉さえ、体の奥に甘く響く。
「や、あ……っ、やめ……」
弱々しく吐き出された言葉とは裏腹に、シーツを掴む指先は震え、それが――どこか、快感の波を待つようにも見えてしまって。
なのに先生の動きはまるですべてを知っているみたいに、
緩急をつけながら速く、深く、突いてくる。
「……イきそう?」
耳元で囁かれるだけで、熱がいっそう高まり足先まで痺れる。
「っ……あ、あ……や、っ……」
声が止まらない。
結合した箇所から、音がさっきよりも深く、重くなる。
ぱん、ぱちゅ、ずんっ……くちゅ、ぬちゅ、といやらしい音がリズムを刻む。
「……く……っ、……」
先生の息が上擦る。
眉を寄せて、私の中の熱に耐えるように目を細める。
(……先生も、気持ちいいのかな……?)
私だけじゃない。
先生もちゃんと私の中で感じてくれてる。
(……なんか……嬉しい……)
溺れそうなくらい苦しいのに、その想いだけは優しく浮かび上がってくる。
熱がどんどん奥に溜まっていく。
それはもう、手の届かない場所でふくらんで、今にも弾けそうで。