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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第12章 「極蓮の魔女」


書庫の中に漂う空気を、意識のすべてで探る。


(……どこから?)


空気をかすめるように、ふわりと香りが通り過ぎた。
香りを追って、足が自然と動く。



「?」



背後で先生の声がしたが、振り返る余裕もなかった。
書架のあいだを進んで、あの香りの気配を追いかける。


そして――書庫の奥。
壁際の低い書棚の前で、ふと足が止まった。
匂いが、そこでふっと強くなった気がした。



「……この辺、だ……」



小さく呟きながら、その棚に視線を這わせる。
書棚の下部、埃をかぶった古い木板の隙間――


(……なんだろう、これ)


目を凝らすと、板の奥にわずかな段差が見えた。
木目と同化するように、薄く四角い線が刻まれている。


しゃがみ込み、手を伸ばした。
ざらりとした木の感触。
その表面を指でなぞるように探ると、カチッと音がした。


ごくわずかに、板が沈んで。


(……隠し戸?)


もう一度、今度はしっかりと板に指をかける。
ギ……ッ
小さな軋み音とともに、木板がわずかに手前に引き出された。


その奥には、一冊の小さな冊子が古びた布に包まれ、何重にも巻かれている。



「……先生、これって……」

「封印されてるね。貸してみて」



その冊子をそっと先生に差し出すと、先生は布越しにその表面へ指を添えた。


すると、次の瞬間――
空気が、かすかに震えた。
見えない“波”が広がるような感覚。


先生の指から、ごく微細な呪力が流れ込んでいく。
それはまるで、硬い錠前の隙間を縫う細い鍵のように。
極限まで精密に、繊細に“封”をなぞっていた。



「迂闊に力をかけると、中身ごと壊れる可能性があるな。……かなり古い呪式だ」

「これを壊さずに開けられるのは、僕くらいだね」



先生の呪力が走るたびに、布の内側からかすかに光が漏れ出した。
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