第4章 副隊長、助けてください
その時、玄関の扉が勢いよく開かれた。
私たちの姿を確認した副隊長は、すぐに男を引き剥がして壁に押さえつけた。
「誰や、おっさん。誰のものに手ぇ出しとんか、わかっとんのか。」
「保科、副隊長…?なんで…。」
何年も一緒にいたのに、聞いたこともない彼のドスの効いた低い声に肩が震えた。
ギリギリと音が鳴る程男の腕を掴んで、小此木さんにここに警察を呼んでもらうよう指示をしている。
「凉、もう大丈夫や。すまんが、自分で服戻せるか?」
先程とは別人と思える程、優しく甘い声で私に微笑んでくれる。
「副隊長…うぅ…ありがとう、ございます…。」
「さっきはあないに宗四郎言うてくれたんに…もう副隊長なんか?」
いつものように優しく声をかけてくれて、恐怖で支配された私の心はだんだんと彼に溶かされていく。
すぐに服を戻して、私を襲おうとした奴の近くにいるのは嫌だが副隊長の傍にいたくて、玄関に座り副隊長のズボンの裾を握る。
少しの間そうしているとすぐに警察が来て、男を引き渡した彼はすぐに私の肩を抱き、もう大丈夫やよと何度も優しく声をかけてくれた。
ガクガクと震えていると着ていたパーカーを脱いで肩にかけてくれる。
その後警察官にいろいろ聞かれて、副隊長が目撃者になっているのでスムーズに話が進み、警察官は帰っていった。