第16章 副隊長、告白します
そのまま医療用のテントから出てオペレーションルームに向かう。
宗四郎がついてくるが、構わず真っ直ぐ進む。
ついてこなくていいのに。
私がどこに向かっているか気付いた彼は、何しに行くん?と聞いてきたが無視して進む。
オペレーションルームについてこのちゃんの姿を見つけ、真っ直ぐ彼女に元へ歩く。
忙しいだろうが、少しくらいいいだろう。
一つだけ質問するだけだ。
このちゃんと声をかけるとすぐ振り向いた。
チラッと後ろの宗四郎を見た彼女はすぐに私に視線を戻して、どうしたの?と聞いてくる。
「宗四郎とのセックス、気持ちよかった?」
辺りが静まり返った。
オペレーションルームだからもちろんオペレーターたちがいる。
1拍置いて宗四郎が後ろから何言うとんのやと口を塞いできた。
驚いて固まったこのちゃんが瞳を揺らす。
私は口を塞がれたままじっと彼女を見つめる。
後でいいかなと目を逸らして言ってきたので、黙って見つめた。
本当は喋りたいが塞がれているので喋れない。
周りがコソコソとし始める。
「凉、戻るぞ!」
未だに口を塞いだまま彼は、私の手を取って引く。
怒りが湧いてきて、口を塞ぐ彼の手を無理やり引き剥がした。
「私は気持ちよかったよ。気持ちよかったか気持ちよくなかったかなんて、簡単に言えるよね?」
「アホっ!!もうええから戻るぞ!小此木ちゃん、気にせんでええからな。」
笑いが込み上げてくる。
そっか、このちゃんのこと庇うんだ。
だったら、もういいよ。
手首を掴む手を無理やり振り払い、走って逃げた。
結局、逃げることしか出来ないんだ。
宗四郎が私の名前を呼ぶが、このちゃんが副隊長と呼んだ。
あ、来ないんだ、このちゃんのとこいるんだ。
このちゃんとの勝負は私が負けたのかな。