第15章 副隊長、基地が大変です
その時、隊長のペット…伐虎が空に向かって唸りだした。
見上げると、幾つもの球体が密集し空を覆う程の一つの大きな物体になったものが浮かんでいる。
なに…?
余獣がその球体一つ一つに入り込んでいく。
「超巨大余獣爆弾です!」
爆弾?あんなものがここで爆発したら、ここの基地は、ここにいるみんなは…。
「人間、この勝負、引き分けだな。」
10号!?
引き分けって…許せない。
あんなものが爆発したら、被害が出るのは基地だけではない。
どうしたら…あれを止められる?
「っ!日比野さん!!」
1人駆け出した日比野さんは余獣爆弾に向かっていく。
もしかして、8号になるつもり?
そんなことをしたらあなたが…。
すぐ追いかけるが怪獣の力を解放した彼に追いつけるはずもなく、一緒に駆け出した宗四郎も驚き足を止めた。
「日比野さん!!ダメです!そんなことをしたらっ…!」
彼の耳は届いていないだろう。
ただ、ここのみんなを助けるのに必死な彼には…。
だんだんと日比野さんは怪獣の姿になっていく。
雄叫びを上げた彼は爆弾に向かって飛んでいった。
拳で爆弾をどんどん突き上げていく。
「総員、その場に伏せてシールド全開!!」
亜白隊長の言葉にすぐにシールドを張り伏せた。
「っ!宗四郎?」
「僕が守る。」
私の上に覆い被さった彼に驚く。
迫り来る衝撃にギュッと目を瞑った。
宗四郎が庇ってくれているのに吹き飛ばされそう。
目の前にある彼の手を、バラバラに離れてしまわないようにギュッと握った。
衝撃波が止み起き上がった彼に続き私も起き上がると、目を覆いたくなる程の光景に息を飲む。
基地が…私たちの基地が…。
後ろから腕を回し私の太腿の上にある彼の手を握ったまま、呆然と辺りを見渡す。
ここで私たちは出会い、共に強くなった。
何よりも大切な場所…。
日比野さんが亜白隊長の命によって拘束される。
背中にある彼の胸に身体を預け、そっと目を閉じた。