第15章 副隊長、基地が大変です

彼は何度も怪獣の胸や首に傷をつけていく。


っ！やばいっ、捕まる！

6式を使おうとしている彼は空中、怪獣の手はその彼に近付いていった。


咄嗟に怪獣の顔を蹴り彼の方へ跳び、庇おうとしたが一緒に掴まれてしまった。

何をしてるんだ、私は…。


宗四郎と一緒に握り潰されそうになり、彼は血を吐き出す。

どうしよう…彼の肩に顎を預けながら必死に耐える。


「なに、してんねん…お前までっ…くっ！」


「すみませっ、ｳﾞｯ！」


「みな、よく耐えてくれた！」


っ！来た…私たちはあの人に繋ぐことが出来た。


「怪獣…僕らの勝ちや。」


亜白隊長の攻撃によって撃ち抜かれた怪獣は膝をつき、私たちを解放した。

着地した私たちは怪獣を見上げた。


「僕はこの基地の副隊長。あの人に繋ぐのが務めや。」


「私も、ね。2人の補佐官なんだから。」


亜白隊長はもう一度攻撃を撃つが、腕を落としただけだった。


瓦礫に背中を預けていた宗四郎がそう簡単にいかんかと立ち上がる。


「さてと…もうひと無茶すんでぇ！」


私も…と思い、彼に続き、怪獣の頭に向かって駆け出した。

武器が額に刺さったままなのだ。


跳び上がって腕を駆け上がり銃剣に手をかける。

そのままトリガーを引いて顔を撃ちまくりながら引き抜いた。


このちゃんが無茶だと叫ぶ。

いいんだ、私たちは無茶をする為に駆け出したのだから。


「凉！来い！！」


「了！」


機動力を削ぐ為に足を攻撃するのだろう。

下で叫ぶ彼に答えて飛び降りたが、彼の後ろからキコルちゃんが飛び出してきた為、降下する軌道を変えた。


キコルちゃんが膝に斧を振り落とすが弾かれてしまった。


宗四郎が彼女に甲殻を割くからそこに合わせて叩き込めと指示している。

今の私よりは彼女の方がいいだろう。


着地し、2人の攻撃を見届けた。

見事に膝をつかせることに成功したようだ。


キコルちゃんはオーバーヒートしてしまった。

当たり前だ、ここに来るまでもたくさんの余獣を倒して来ただろう。