第14章 副隊長、許しません
そして、なんなんだこれは…何故私は、宗四郎とこのちゃんに挟まれながら飲まなきゃならないんだ。
気まず過ぎるだろ、これ…。
宗四郎の反対隣にレノくんって、いよいよやばくない?
どうにでもなれ!とビールを流し込んでいく。
「凉ちゃん…私、親友の彼氏になんてことを…本当にごめんなさい…許してもらえないのはわかっているけど、謝りたくて…。」
なんでこんなとこでそんな話をするんだ。
「本当にさぁ、まじでありえない。というか、好きなら好きって言ってくれてたら…付き合ってから横取りとかありえないからね!?どうなるかは宗四郎次第だけど、どっちが選ばれても恨みっこなし!」
この話は終わりー!と無理やり終わらせる。
相当酔っ払っているようだ。
普段こんなことなんて言わない。
それに、どっちが選ばれてもって…私、相当酷いこと言ってるな。
あれから彼はずっと私に付きっきりなのに…。
「仲直りしたん?」
いきなり声をかけられて彼を見ると嬉しそうに笑っていたので、ぷいっとそっぽを向いて無視した。
「僕はあかんのかぁ、寂しいなぁ…。」
こんな態度を取っていても彼が私を選ぶのをわかっている。
本当に私、嫌な女だな。
日比野さんの正隊員昇格の話も終わり、お開きに近付いている頃、私は完全に酔っ払い、テーブルに伏せて泣きわめく。
「凉大丈夫か?なんで泣いて……。」
「触んないで!!私は他の人としてないもん。」
肩に手を置く彼を振り払い叫ぶ。
他の人とえっちした人が私に触んないでよ。
はっ!副隊長としての彼の面子が…!
「えへへーごめんね、恥ずかしかっただけなのー。」
彼を見て微笑む。
間違えた…。
これだと余計恥ずかしい。
「そうなん?ほんならよかったわ。」
たぶん彼も気付いている。
さっき叫んだのが本音だと。
心は、あなたが好きだと叫んでいる。
それでも許せない。
だってこの人は、好きでもない女の子を簡単に抱くことができ、好きと言えるのだ。
もしかしたら私もそっち側の相手だということは否定出来ない。
このちゃんには勝てると思っているが…。
もちろんこのちゃんは充分可愛い、でもそこじゃない、彼と一緒にいた日々の濃さが違うのだ。
情が湧くのは私の方だろう。