第14章 副隊長、許しません
「死ぬのはテメーだクソ野郎。」
っ!?
今の声って…。
怪獣の胴体と首が離れ飛んでいく。
起き上がって状況を確かめようとすると、遅くなってすまねぇと日比野さんの声がする。
「え…怪獣8号…?でも、日比野さんの声が…。」
レノくんを横抱きにし道路の端に座らせる。
攻撃、してこない…?
「夏目補佐官、市川を守ってくれてありがとうございます。後は俺に任せてください。」
「え、日比野さん?」
レノくんが先輩気を付けてと言っている。
彼が先輩と呼ぶのは日比野さんだけだろう。
「レノくん、大丈夫。君は絶対に死なせない。」
意識が遠のいていく。止血が間に合っていない。
レノくんに覆い被さりながら止血に集中するがどんどん溢れてくる。
あ、首…素肌が出ているところから溢れてくる。
すぐに押さえて止血しようとするが力が入らない。
私、このまま死ぬの?
せっかく彼に助けてもらった命なのに…。
私は彼に生かされている、勝手に死んではならない。
「凉さん?凉さん!」
「……ん…。」
僅かに返事をするのがやっとだった。
だがすぐに私はレノくんに身体を預け意識を手放した。