第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
副隊長室で作業をしていると失礼しますと言いながらこのちゃんが入ってきた。
さすがにまだ会いたくなかったかな…。
「凉ちゃん!本当にごめんなさい!実は私、前から副隊長のことが好きで、2人が付き合う前に何度か告白してるの。」
ははっ、想い合ってるんだあ、知りたくなかったなあ。
「来るな言うたやろ。まだ凉には会わせへん言うたやん。やっと僕に心開いてきてくれてたんに…どうしてくれるん。」
私の肩を掴むこのちゃんに向かって離れろと言って私の腕を引く。
このちゃんには触れないようにしているようだ。
彼女も相当可哀想だけど…。
ずっと好きだった人には好きな子がいて、やっと振り向いてもらえたかと思ったら、やり捨てされたようなもんだ。
というか、私が邪魔者じゃない?
だって2人は両想いなんだし?
何も言わずに副隊長室を出ていく。
「待って!凉!!…お前もう戻れや。」
すぐに追いかけてきた彼は私の手を掴んで、屋上行かへんと聞いてくる。
なんの為に。
引かれるままついていくと手摺りを掴ませ、その後ろから囲うように彼も手摺りを掴んだ。
「近いか?あかん?」
私に触れないようにしてるけど、どうでもいい。
「このちゃんのこと、好きなんでしょ。私について来なくてよかったのに。」
つい言葉を発してしまう。
「やっと話してくれた思ったんに、そんなこと言うん?ずっと、凉が好き言うとるやん?」
思わず笑ってしまう。
あんなことをしといて何を言ってるんだか。
突き放すことも出来ない自分が嫌になる。
そろそろ新人たち見に行くかと手を引かれて大人しくついていく自分がバカみたいに思えてきた。
手を振り払ってそのまま歩いていく。
また手を繋がれることはなかった。