第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
検査を終えて私は立川基地の医療棟へ移された。
亜白隊長に辞めるというのは聞かなかったことにしてやると言われたが、正直厳しいだろう。
防衛隊の科学力を持ってしても、元のように動けるようになるかはわからないと言われた。
「凉〜めっちゃ疲れたわ、癒して〜。」
夕方、訓練を終わらせた宗四郎が病室に入ってくる。
特に目を合わせることはせず、お疲れ様ですとだけ言って、ボーッと天井を眺める。
そや、と言ってスマホを差し出してくる。
「君のお母さんが買うて来てくれたんやで。」
そっか、スマホ壊れてたから…。
自然と笑みが零れる。
「あのな、今日な、カフカがまたやらかしてん!」
特に反応を見せない私に飽きることなく彼は、毎日その日の出来事を楽しそうに話してくる。
それは私が補佐官としての業務を再開してからも続いていた。
さすが防衛隊と言うべきか、基地に来てから1週間もせずにほぼ元の生活に戻っていた。
さすがにリハビリ等はしているが、訓練もこなせるようになってきている。
「凉!もう帰ろ?あんま頑張り過ぎてもあかんねんで?まだ万全やないんやから。」
行こと私の荷物を持って手を引いていく。
私は未だに彼の家に帰っている。
一度出ていくと行ったが全力で止められて、仕方なく…。
「飯作るな?座って待っとって!好きな子に美味い飯作ったる!」
家に帰ってくると私をソファに座らせて、彼はキッチンに立つ。
あれから彼がこのちゃんといるところは見ていない。
さすがに通信で話しているとは思うが…。
それに、私が知らないところでコソコソ会っているのかも。
何度かこのちゃんに話をしたいと言われたが、全て断った。
話せるはずもないだろう、信じていた大好きな2人に裏切られたのだから。