第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
だんだんと朝が近付いていく。
こんなにも朝が来て欲しくないと思ったことはあっただろうか。
神様じゃなくてもなんでもええ、凉を連れていかんで。
「凉、僕な?君がずっと刀を持つ僕を見てくれとったから、頑張れたんよ?声はかけてくれへんかったけど、めっちゃ嬉しかったんやで?」
君と亜白隊長だけやったんや、刀で戦う僕を認めてくれたんわ…。
看護師や医師が入ってくる。
ダメや、凉…僕はここにおんねんで。
ピーーーという機械音が鳴り響いた。
「凉っ!あかん!!僕はこっちや!そっちに僕はおらへんから!ちゃんと僕のとこ帰ってきてや!!」
時計を見る医師を無視し、心臓マッサージをする。
何度も彼女を呼び続けた。
僕の涙が彼女の頬に零れていく。
「凉っ、凉!!なぁ!戻って来い!!君の居場所は僕の隣やろ!?勝手に一人で行くんやない!!」
看護師や医師が僕を止めようとするが、僕は無理やり続けた。
遺体の状態が悪くなるとか言っている。
アホか。
「遺体?なんのこと言うとんのや。凉は死なへんねん、ずっと僕の隣におんねん。」
「そ、しろ……。」
微かに、だが確かに聞こえた。
彼女が僕を呼ぶ声。
「凉っ!!僕の声聞こえる?大丈夫やよ、必ず助けたる。」
モニターの波数が上下し、数字が上がっていく。
「ははっ、僕の勝ちや…僕が君を死なせるわけあらへんやろ。」