第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
あれ、なんで僕はここにおるんやっけ?
小此木ちゃんが僕の腕に縋り泣いている。
目の前には愛しかったはずの子が幾つもの管に繋がれ、真っ白なベッドに横たわっている。
彼女のお母さんが化粧がぐちゃぐちゃになるのも気にせず泣きじゃくっていた。
市川もいる。
少し経つと落ち着いた凉のお母さんが、自分から車の前に飛び出したようだと言っている。
「凉さん、屋上で副隊長からのメッセージを確認してから泣き出して、すぐに副隊長室に向かったんですが、入らず基地を出ていったんです。」
小此木ちゃんとしてた時か?
連れ戻そうとしたが無理だったと市川が続ける。
僕のせい…僕があんなメッセージを送って、小此木ちゃんとやったから。
全部僕のせいで彼女は今、死ぬかもしれへん?
嫌や…失いたない。
小此木ちゃんを無理やり引き剥がして、横たわる彼女に縋る。
「凉ごめん、ほんまにごめん…謝るから、目ぇ覚ましてくれや…やっぱ僕は、君がおらんとあかんっ!」
朝を迎えるまでに容態が安定しなければ生存は絶望的だと言われた。
医師も出来ることはないから、面会を許可しているらしい。
「頼むから…死なんで…僕を残して逝かんといて……僕と結婚してくれるんやろ?なぁ…嫌や…。」
彼女に別れを告げて小此木ちゃんを受け入れた僕が言える言葉じゃない。
そんなことはわかっているが、やはり僕には彼女しかいなかった。
なんでもするから、死なんで…。