第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
すぐに基地を出て行き先も決めずにただ走る。
心臓が痛い…きっと走っているからだろう。
そう思っていないと、胸が押し潰されそうだった。
レノくんの声が聞こえる。
ずっと追いかけてきてくれている。
私はどこに行くんだろう、財布もスマホもない。
家は宗四郎の家で…帰れるはずもないけど、もし帰るとしても鍵を持っていない。
私の居場所はどこにあるの?
そうだ、お母さん…お母さんなら、連絡をしていなくても喜んで迎えてくれるだろう。
少し遠いけど、そこまで走ろう。
「凉さん!!落ち着いて!」
「あっ!離してっ!やだ、やだやだっ!!もう嫌っ!」
掴まれた腕を振り払い、帰ってとレノくんに叫んでそのまま走っていく。
そうだ、まだ仕事残ってて…でも副隊長室に入れない。
あぁもう…いいや、何もかもどうでもいい。
亜白隊長に通信機で連絡を取り、一方的にしばらく休む、もしかしたらそのまま辞めるかもしれないと言って通信を切った。
社会人としてやばいな…なんてことも何も考えられなかった。
どうせならこのまま死んでしまおうか。
私だって、あなたが傍にいないなら死んでもいい。
そう思ったら、私は道路のど真ん中で立ち止まっていた。
光が私を包み込み、衝撃と共に意識は遠のいていった。