第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
「レノくん!最近すごいね、どんどん強くなって…私、追い越されちゃいそう!」
「凉さん!補佐官を簡単に追い越せるわけないですよ…でも、ありがとうございます!」
訓練終わりのレノくんの姿を見つけて声をかける。
レノくんとはまたよく話すようになった。
前みたいなことをしてこなくなったからかな?
そういえば…昔は敬語じゃなかったはずなのに、なんで今は敬語なんだろう?
別に勤務中じゃなければ昔みたいに話しかけてくれてもいいのに。
それを伝えてみると了!と言われて笑ってしまった。
今は勤務中じゃないでしょと肩に手を置く。
そうだったと笑う彼に天然なの?笑った。
その後、副隊長室で作業をしているとスマホがメッセージを知らせたので見てみると、レノくんから少し相談があるときている。
なんだろうと思い返すと寮の屋上で待ってると言われた。
宗四郎にちょっと出てくると伝えてドアノブに手をかけた。
「どこ行くん?誰んとこ行くん?何時やと思うとるの?」
「え?レノくんが相談あるって…別に基地の中だし、時間は関係ないでしょ?」
「最近、市川と仲良うし過ぎとちゃう?」
どうしたのだろう…元々私たちは幼なじみだし、レノくんが触れてくることもなくなったのに。
というか、宗四郎だってこのちゃんと仲良くしてるじゃん。
心配しなくても大丈夫だよと言って副隊長室を出た。
寮の屋上につくとレノくんが手摺りに肘をついて、遠くを見つめていたので声をかけるとすぐに振り向いて笑う。
「どうしたの?相談って…。」
「あ…相談っていうのは口実で…もう少し話したいなって。」
なんだそれ、可愛いな。
けど、宗四郎に相談があるって言って出て来ちゃったんだよなぁ。
「前はあんなことしてごめんなさい…凉さんはずっと俺のだと思ってたから…でももう、そんなこと思ってないよ。」
急に真剣な顔になったレノくんは俯いて謝る。
「そっか…ああいうことされるのは嫌だったけど、レノくんのこと好きだから、許しちゃうってのもあるんだよねぇ…実際もう許しちゃってるし。」
もちろん好きというのは、幼なじみとして。
恋愛感情があるわけではない。
たぶん、レノくんもそれをわかっているだろう。
私たちはそのまま30分くらい話していた。