第13章 副隊長、私はもう要りませんか?
演習場の外壁に立つ宗四郎とこのちゃんの後ろに立ち、射撃訓練をする新人たちを見ている2人を邪魔しないよう話しかけずに、私もチラッと下を見る。
みんなすごいなぁ、その中でもレノくんの伸びはすごかった。
キコルちゃんなんてすぐにでも私を追い越す勢いだし…。
すると、日比野さんが解放戦力1%になったようで、喜びようがすごい。
キコルちゃんを追いかけ回している。
あれ、大丈夫なのか?いろいろと…。
宗四郎が日比野さんを呼ぶと嬉しそうに返事をしている。
「このままやとお前は正隊員になれん。3ヶ月後にはクビやで。」
そんなはっきりと…まあしょうがないけど。
「よーし、外周10周して今日は上がりや!」
新人たちからえぇええ!という悲痛な叫びが上がる。
チラホラと私を見つけた新人たちは補佐官!今日の格好なんかえろいですね!とか、セクハラ発言をする者もいる。
別にえろくはないと思うんだが…スーツの上にジャージの上着だけを着てファスナーは閉じていない状態だ。
チラッと目だけを私に向けた彼はまた新人たちに目線を戻した。
と思ったら私の腕を引っ張って自身の前に立たせ、後ろから前を隠すようにジャージを閉じる。
「文句言うたから15周や!凉のことえろい言うたやつはそのあと腕立て50回!はよ行け!」
肩を落としながら外周に向かう新人たちを見て笑みが零れる。
「ほんまにえろい格好しとるからビビったわ。」
肩に顎を乗せ溜め息を吐いている。
そんなにえろいだろうか?
訓練をして汗をかいたから冷えないように羽織ってきただけなのだが…。
「バチバチ火花散らしてますね〜新人たち。」
「あぁ、僕のおらんとこでも、競い合って高め合うてるようやで。」
このちゃんはすでにもう私たちのことは気にしていないようだ。
こんなくっついているのに気にも止めない。
いきなりジャージを脱がせられて何をするのだと振り返ると、宗四郎が私のジャージを着ていた。
いや、丈が…。
えろいねんとジャージは返してもらえなかった。
だから、何がえろいのー!
僕も着替えるから着替えて来いと言われ副隊長室に向かう彼を見つめた。
私のジャージ…。