第12章 副隊長、さようなら
1時間くらい寝ただろうか、また通信機が鳴り出して目が覚めてしまった。
もう、寝かせてくれ…。
諦めて新人たちの訓練でも見ようと思い、演習場へ向かった。
「あ、凉さん!さっき、副隊長探してましたよ!」
私の存在に気付いたレノくんが声をかけてくる。
てか、基地にも来てたのか…。
あれからレノくんは私に変なことをしてくることはなくなった。
レノくんに私がいたことは言わないで欲しいと伝えて、どこに隠れようと頭を捻らす。
私が今いるのは演習場の壁の上なので、いろいろ見渡せる。
すると、ものすごい速さで走っている副隊長を見つけた。
すぐに屈み身を隠す。
ちゃんと休んでなよ、もう…。
というかもうこれ、かけれんぼ?
うるさい通信機を耳につけると、彼の声が鼓膜が破けそうな程響いた。
「やっと繋がった!どこおんねん!はあっ、話そう言うたやん!っ、帰ってきてや!!」
息切れてる…そんなに必死で私のこと探してるの?
ゆっくり立ち上がって彼を見下ろす。
「上見て。」
「…っ!なっ、もう…そこおれよ!?動いたらあかん!!」
開かれた目と視線が交わると彼はすぐに走り出す。