第12章 副隊長、さようなら
「小此木ちゃん、僕最近どうしたらええかわからん。自分の気持ちがわからへん。」
「気持ち、ですか?」
あんなに凉のこと好きや思っとったのに…と続けて少し黙る。
何を思ったか僕は小此木ちゃんの腰を抱き肩に頭を預けた。
小此木ちゃんが驚いて固まる。
僕も自身の行動に驚いて固まってしまった。
凉じゃないのだから離してくれと言われて、僕も我に変える。
「すまん、めっちゃ凉だと思うてた…あの子のこと考えると、頭ん中そればっかなって、周り見えへんくなる。」
あんなに凉のこと好きや思っとったのに…好き過ぎて何度も身体を求めてしまう。
「好きや思っとったのに…今は愛しくて堪らへん。大事にしたい思うのに、すぐ押し倒してまうねんな…どうしたらええと思う?小此木ちゃん。」
「そっ、そんなこと私に聞かれてもっ!……でも、凉ちゃん、副隊長に求められるの、すごく嬉しそうにしてましたよ?」
求められると愛されていると感じると…小此木ちゃんはそう続ける。
凉は僕に抱かれたいんや…抱いてええんや…。
最近は彼女を見るとすぐにしたくなるから、背を向けて寝ていた。
今日帰ったらしよかな…。
その後も小此木ちゃんに凉の可愛いところを一方的に話していたら、空が明るくなってきてしまった。
仕事もしないで、凉を一人置いたまま…。
「小此木ちゃんありがとう。そろそろ戻らへんと、僕の可愛い補佐官ちゃんが寂しいて泣いてまう。」
「ははっ、惚気も限度というものがありますからね…。」
苦笑いを浮かべた小此木ちゃんは少しやつれたように見える。
副隊長室に戻ると凉の様子がおかしくて、別れようと言われた。
そんなセックスしてへんのあかんかった?
でも彼女が僕のことを好きなのは知っている。
不貞腐れているだけだろう。
今日しようと誘っても首を縦には振らず、そのまま帰ってしまった。
どうせ帰る場所は同じだと思って、僕はゆっくり準備を始める。
久しぶりやし、可愛ええ声でいっぱい鳴いてもらお。
そんなことを考えながら家に帰ると、彼女の姿はなかった。