第12章 副隊長、さようなら
「副隊長、少しいいですか。」
「ん?どしたん?2人きりやん、なんでそんな余所余所しい話し方するん?」
何も知らないと思っている。
目頭が熱くなった。
当たり前だ、何年も好きだった人と付き合えたのに、言いたくない言葉を言わなければいけないのだから。
「……別れましょうか。荷物は時間が空いた時に取りに行きます。」
「…は?……え、なに?なんで?最近セックスしてへんから?したいなら言うてや、するし。」
私はただ笑った。
そうしてないと涙が零れそうだったから。
私としてない間、このちゃんとしてた?
嫌な想像をして心が真っ黒になる。
私はそのまま作業に戻り、彼も何も言うことはない。
勤務時間が終わると彼は椅子のキャスターを転がしながら私の方に移動してきた。
「今日しよか…。」
私の手を握って耳元で甘く囁く。
「別れるって…。」
「僕、うん言うてへん。しよ?」
さっきまでこのちゃんに触れていた手で触らないで…。
それにしてたんじゃないの?
なら、私としなくていいじゃん。
無理やり手を振り解き、荷物を持って副隊長室を出た。
もう私のこと好きかどうかわからないんでしょ?なら、もういいじゃない。
追いかけて来ないのはそういうことでしょ?