第12章 副隊長、さようなら
ある夜勤の日、私は目撃した。
楽しそうに話をする2人を…。
1人は私の彼氏、もう1人は休日遊びに行ったりもする親友。
元々2人が仲良いのは知ってた。
でも今までとは何かが違っていた。
休憩中いつも私に触れる彼はその日、少し用事があると副隊長室を出ていく。
最近様子がおかしい。
毎日のように私に触れ求めていたのに、最近夜は私に背を向けて眠る。
あんなに好きと言っていたくせに…。
彼が出て行ってから少しして私は彼を探しに行った。
いろいろ探して辿り着いたのは屋上。
話し声が聞こえる。
「小此木ちゃん、僕最近どうしたらええかわからん。自分の気持ちがわからへん。」
「気持ち、ですか?」
あんなに凉のこと好きや思っとったのに…と言う彼の声は、私の知らない声だった。
甘くもない、苦しそうだったり辛そうな声でもない。
ただ本当に無感情、と言えばいいのか。
このちゃんの腰を抱き寄せ肩に頭を預けた。
彼女はそれを振り払おうともしない。
そうか、もう宗四郎は私に気持ちがないんだ。
少し前まではあんなラブラブだったのにな。
あなたがそういうことをするなら、私から言えばいいんでしょ。
一人副隊長室に戻って作業を再開した。
副隊長はなかなか戻って来ないだろう。
朝方戻ってきた彼は私の知らない匂いがした。