第11章 副隊長、レノくんがごめんなさい
宗四郎は新人の訓練に向かい、私は出来るだけ彼の仕事を減らしておかなければならない。
私では判断出来ないものや難しいものは一纏めにして、書類と睨めっこする。
お昼に近付いた頃やっと一段落したので、午後は訓練に顔を出せそうだ。
食堂でこのちゃんとご飯を食べていると突然視界が真っ暗になり、誰かに目を隠されたようだ。
愛しい匂いや手の温度で心臓が高鳴る。
このちゃんがだーれだと言うのでえー誰だろうと乗ってあげるが、すぐに耳元で僕やと囁かれたので、肩をビクつかせ箸を落としてしまった。
「あーすまんすまん、変えてもろて来る。ちょっと待っとって。」
心臓に悪い…。
「凉ちゃんごめん、目で合図されて…。」
「大丈夫だよ、このちゃんは悪くないし…宗四郎が悪い!」
新しい箸をもらってきた彼から受け取りご飯を食べながら、ご飯中はやめてと睨む。
耳弱いもんなぁと笑いながら謝られて、大丈夫なのかと頭を抱えた。
宗四郎もお盆を持ってきて隣で食べ始める。
「私も午後から訓練に参加します。」
「おん…って、なんで敬語やねん。」
今は勤務中ちゃうねんからやめてやと泣きつかれたので、わかったからあんまりくっつかないでと宥める。
「なんか、凉が冷たい…小此木ちゃんどう思う?彼氏に冷たいねんで?」
このちゃんに聞いてどうする。
というか、そこまで冷たくしているつもりはないのだが…。
このちゃんが照れてるんですよと言うので、必死で否定した。