第39章 お使い、そして…
村に着くまでさほど時間はかからなかった。いや、正確には二時間ほどで着くように青藍が飛ばしてくれたから、なのだろう。
「…村長さん、」
「おぉ、ありがたい…」
「後、これを…」
そう言いながら青藍が手紙を渡す。
「…あぁ、解った。そなたは見ない顔だが…」
「新しくお世話になっている理世と言います。以後お見知りおきいただければ…と思います。」
「理世か、わかった。それで、今宵は泊っていくのだろう?」
「…いえ…」
そう私は切り出した。
「理世さん!」
「ダメだよ、青藍。帰ろう?」
「そうは言っても…」
そんな時だった。わずかに地面が揺れた。
「…何?」
「…ッッ」
「村長!!」
ガチャリと数名の男性が入ってくる。
「失礼だぞ?お客人が『そんな事を言ってる場合ではありません!』……何?」
「恐らく…」
そう言いながらも男性たちは青藍の姿に気づいた。
「…恒天部隊の方…?!」
「あぁ。」
「よかった…しかし、ここにいては…」
何かがあった…そう、私たちが出てきた村で…表に出ればこの場所からでは目視が出来ない。それほどの距離にいるのだから仕方がない。しかし高見台からの伝令ではさっきの地響きに加えて村の方角で砂煙が上がっているとの報告があったという。
「…青藍…帰るよ」
「しかし!」
「すみません…今夜は…泊まることなく帰ります」
「あぁ、解った。気を付けて…」
そうして薬の代金を受け取った私と青藍は急いで車に乗り込んだ。
「…理世さん!待ってください!」
「待てない!」
「しかしこれでは…」
「沙烙に怒られるって…?」
「…はい…」
「だから何?」
「…え?」