第4章 襲撃、守る腕
「…あれ…」
そんな戦いの奥に理世は一人の迷子を見つけた。
「あのこ、あんな所で…危ない…」
そう呟けば店から出てくる。妖怪たちに気づかれないようにと建物に沿いながらゆっくりと歩いていく。それでも気づいた妖怪の一部…
「グヘヘヘッヘ…!」
「ほら、大丈夫?」
「おねぇちゃん…大丈夫…でも、どっちにいったらいいか…」
「私の後ろに細道があるから…そっちから逃げなさい?」
「うん…でも…」
「私なら大丈夫…ほら、」
またしてもにこりと笑いかけてこけた迷子の少女を逃がしてやる理世。しかし、その時すでに遅しと言わんばかりに妖怪の魔の手が忍び寄っていた。
「理世!!!」
「あんの…ばか…」
皆の声がする中で振り返った理世。しかし目の前で妖怪はヒュン…っと消えていく。その代わりにという様にジャラジャラ…!と鎖が音を立てて動いていた。ぐいっと体を引かれればふわりと煙草の香りに包まれた。
「…たぁっく、少しは自分のコトも大事にしろって」
「…ごじょ…ぉ」
そう、鎖の正体は悟浄の使う錫杖だった。
「あ、りがとう…」
「どういたしまして☆んじゃ、あっちにでも行ってな?」
「……ごめ…ッ…無理そう…」
「ぁん?」
「…びっくりして…」
震える膝を何とかごまかしながらも理世は立っているのがやっとだった。
「…じゃ、俺の傍から離れんな、怖けりゃ目でも瞑ってな?俺が指一本触れさせねぇからよ」
「……・・ッ」
そういわれて理世は悟浄の背中に回る。邪魔にならないようにとしているものの、怖くてどうしても目を閉じてしまっていた。