第39章 心は運命も本能も飛び越える✿保科宗四郎✿裏
1週間程経つと身体の火照りは治まり、疼きもほぼなくなっていた。帰ろう……家に。ただの運命。ただの本能に惹かれた身体。そんなものの為にあの人を縛ることなんて出来ない。
私が欲しいのは、保科宗四郎の心――
副隊長が洗って持ってきてくれた隊服に袖を通す。副隊長の隊服などは名残惜しいが捨てて、新しい物を支給してもらうようお願いしよう。
「……帰ります」
「どこに」
「家に……」
副隊長は鍵を開けてくれなかった。今すぐこの人から離れたいのに……このままだとまたあの強烈な電流が走ってしまう。
「辞めても、僕は諦めへんぞ。僕の番になりぃ?結婚しよう?」
なんで……わかっているでしょう?本能だけがそう思わせていることに。
赤紫の瞳が真っ直ぐ私を射抜いている。僅かに熱に揺れる視線は、性別に犯されている事実。
「……もう少し、時間あげよか?やけど、僕ん家かここにおることなるけど」
答えなくても鍵は開き、その腕に閉じ込められる。副隊長の匂いにクラクラする。この人の近くにいたら私は、私でいられない。
それは彼も同じだろう。お腹を押し返す、硬いモノが主張している。
「――好きやで」
「っ……もう少し、考えさせてください……」
短く返事をした副隊長は、私を固く閉じ込めていた腕を解き、手を引いて、隔離室から離れていく。途中で手が離れると、彼の香りが濃くついた上着を肩に掛けられた。