第3章 瑠璃—るり—
「瑠璃、今日からここが君のお家だよ」
るうの、おうち。
パパとママの、いないおうち。
しらないひと。
はじめてみるひとたち。
怖かった。
初めて手を引かれて連れて行かれたおっきいお家も。
引かれた手の痛さも。
初めて紹介された、パパとママじゃない家族の人たち。
みんな敵に見えた。
恐怖でしか、なかった。
与えられたおっきな部屋は、ひとりでいるには広すぎて。
おっきくてふかふかのベッドは、ひとりで眠るには寂しすぎて。
パパとママを思って毎日泣いた。
パパとママと一緒に寝ていたベッドよりもおっきなベッド。
どっちを向いても。
夜目が覚めても誰もいない。
いつも。
ひとりだった。
だけど。
「一緒に寝てもいい?瑠璃」
同じ顔の、お兄ちゃんふたり。
確か。
燐と、黎。
あの日から。
ふたりが一緒に寝てくれた。
どっちを向いても、目が覚めてもふたりがいる。
嬉しかった。
いつの間にか夜目が覚めることがなくなって。
いつのまにか。
『お顔の綺麗なお兄ちゃん』は、『大切なお兄ちゃん』になって。
るうの、ナイトになった。
いつもいつも。
るうを守ってくれる。
大好きな、お兄ちゃんになった。
「瑠璃、遅刻するよ」
「忘れ物ない?」
16歳。
お兄ちゃんたちと同じ学校。
また、一緒にいられる時間が増えて。
安心が。
ドキドキにかわる。
「瑠璃ちゃん、くれぐれもお兄ちゃんたちに迷惑かけないようにね」
「…………はい、おばさん」
「———行くよ、瑠璃」
あたしを良く思えないおばさんと、お兄ちゃんたちがギクシャクしだしたのもこの頃だ。
そして。
「瑠璃、どんどんあの女に似てくるの。もう耐えられない」
「良さないか。もう話し合っただろう」
「良くないわ。元はと言えばあなたが親友の奥さんに手なんか出すから!!」
偶然聞いた。
2人の会話。
わからない。
その後すぐに部屋に戻ったから。
おじさんとおばさんが、何を話してたのかわからない。
わからないけど。
あたし。
お兄ちゃんのほんとの妹なんだ。
血。
ちゃんと繋がってた。