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【短編集】悪役令嬢RTA

第2章 三十六計逃げるに如かず。


パンパンッと手を二回打ち合わせる。
すると音もなく一人の青年というにはちょっと若い位の子がどこからともなく現れた。

アンネレの隠し玉、―――攻略対象が被らない場合はお助けキャラとして登場する人物。
「ミオス」

アンネレが拾ってきて手元に置いている出自不明の彼―――ミオス。
攻略対象じゃないからこのハーレムルートでもヒロインに心奪われていない筈だ。

「アンネレお嬢様どうしました。今日もまるでマリーゴールドの様に可憐で……でも何だかしおれて見える……、嗚呼、そんな憂いを秘めたお嬢様も又美しい」
手を二回叩くのはミオスを呼ぶ合図である。

美しい翠の目が、ねっとりとした粘度を感じさせる視線を投げてきた。
それにこの歯の浮く様な台詞、―――ミオスは相変わらず絶好調だ。―――そう、ミオスはヤンデレなのだから。

うぅ、刺された時を思い出す……。
『君が悪いんだよ。僕以外の男を見るから!!』
嗚呼、思い出しても頭が痛い。
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