【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「て…手紙?」
「俺も詩の勉強してるから、月娘を思って手紙を書きたい。」
「…………。」
ギュッと手を握ってねだってくる壬氏に、月娘はとても断りづらい。
「……頑張ってみるよ…。」
チラッと僑香を見ると、何故か月娘より喜んでいる。
そして承諾した月娘に、壬氏はもっと喜んでる。
「楽しみにしてる。」
壬氏が本当に嬉しそうにそう言うから。
月娘はしばらく壬氏が自分と会わなかった理由なんてどうでもよくなった。
会う機会は少なくなったが、こうして会う壬氏は初めて会った頃と何も変わらない。
「…ねぇ僑香…。瑞のこの詩の意味って何かしら…。」
月娘は壬氏から貰った手紙を見て、眉間に皺を寄せてもその意味が分からなかった。
なのに僑香はそれはとても素晴らしい贈り物を貰った様に目を輝かせている。
「皇太子殿下の月娘様への想いがよく分かります…。」
「……………。」
うっとりした様に手紙を読む僑香とは真逆で、月娘は全く分からない。