【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「月娘の友達?」
月娘にとって大切な人だったら、傷付けた事で嫌われるかもしれない。
壬氏は不安そうに月娘を見上げた。
「侍女で、1番大切な友達よ。」
僑香を同情的に見ている月娘の顔に、壬氏はこれからは僑香も大切にしようと思った。
そして、この時の誓いは今でも続いている。
「どうしたの?瑞。コソコソして。」
壬氏に手を引っ張られて、誰も居ない宮の奥まで連れてかれた。
こうして壬氏と会うのも久しぶりなのに、壬氏はなんだかソワソワして落ち着きがない。
壬氏からしたら、月娘と一緒に居る所を、誰にも見られない様に必死なのだ。
月娘と一緒に居る時の顔と、他の人と一緒に居る時の顔が全く違う。
高順からくらったダメ出した。
(月娘を見ると嬉しくて顔が緩んじゃうから…。)
平然とした態度なんて取れない。
今だって手を繋いでいるだけで、胸が張り裂けそうに痛い。
「…最近会えなくなったから…。」
「あ、うん。瑞も他の人と会ってて、忙しそうだもんね。」