【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
後に月娘は確信する。
そんな壬氏の横に堂々と並べるのは。
やはり自分だけだと。
「月娘…。」
後宮に宿題を出しに行った帰りに、月娘は壬氏にコソッと呼ばれた。
「月娘様、呼ばれてますよ。」
この時から月娘の侍女見習いをしている僑香は、月娘の袖を引っ張って彼女に教えてた。
「瑞……。」
「ええ?この方が皇太子殿下ですか?!」
月娘が壬氏の名前を呼ぶと、僑香は顔を真っ赤にして思わず叫んでしまった。
「しっ!静かにして!!」
叫ぶ僑香に壬氏は手を伸ばして口を塞いだ。
壬氏の顔が急に近くなって、僑香の顔が更に真っ赤になった。
ポタポタ…。
「あ…。」
頭に血が登った僑香は、その熱が鼻から出てしまう。
「ええっ、鼻血出てるけど大丈夫??」
壬氏が慌てて僑香の顔をハンカチで抑えた。
「……………。」
可哀想に、免疫が無いのに壬氏に急に触れられたらそうなるだろう。
月娘は壬氏に鼻を拭かれて泣きそうな僑香に同情した。