【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第10章 初恋的回忆〜初恋の思い出〜
「……お前がやってるソレって、皇后になる為の準備だって知ってるか?」
「皇后?私が?」
嫌そうな顔で言う夏潤に、月娘はキョトンとした顔で聞き返した。
「私後宮に入るの?瑞のお嫁さんになるために?」
その時、月娘の心に広がったのは一抹の不安だった。
「やだ!私家を離れたくないし、僑香や夏兄様と離れたくない!!」
月娘はこの2人が好きだった。
会ったばかりの壬氏より。
2人から離れて1人後宮に行く事はとても耐えられない。
月娘が泣きそうにそう叫ぶので、夏潤はとても満足な顔をして笑った。
「月娘様が皇后になるのなら、私は侍女になって一緒に後宮に行きます。」
僑香がそう言うと、月娘はパッと顔を明るくした。
「それなら僑香とは離れないで済むわね。」
月娘はそう言うと、黙っている夏潤をチラリと見た。
月娘に見られて夏潤は一緒ビクッとした。
「………俺は……。」
一緒に後宮に入るとは言いたく無かった。
内官になる為には沢山の試験を受けなければならないし。
特にナニを無くす事は避けたかった。