第2章 人形の家
「どうしたら……!」
まさかの事実に典子さんが顔を覆う。
何せ、ナルの言葉が事実ならば礼美ちゃんの命が危ないということなのだから。
「こういうことの専門家を呼びます。家を出るのでしたらせめて、彼がくるのを待ってください」
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「ぜったい人形になにかあるって!まえにも経験あんだよ。人形を可愛がっていた女の子の霊が人形をあやつって家ンなか歩き回ったってのが!」
ベースには燃えなかったミニーが鎮座している。
それがあまりにも気味が悪くて、なるべくそちらへと視線を向けないようにした。
「人形自体問題はないだろう。この家の地縛霊がミニーに憑依してるだけだ」
ぼーさんの意見とナルの意見は見事に分かれている。
その光景に麻衣と困ったようにしていれば、家のインターホンが鳴った。
「はいはーい、お待ちを〜」
「はぁい……あ」
あたしが声をかけ、麻衣が扉を開けてからあたし達は笑みを浮かべた。
扉の向こうには見知った顔がいたから。
「ジョン!真砂子!」
「ごぶさたしてますー」
「お久しぶり〜!」
オーストラリア人のエクソシストのジョン・ブラウンと、有名な霊媒師の原真砂子。
今回ナルが助っ人に呼んだ2名である。
「……なんですの、これは……」
「真砂子?」
「どったの?」
ジョンはニコニコと笑みを浮かべているが、真砂子の顔色はあまりよくない。
家を見るなり、顔色が徐々に悪くなっていた。
「ひどい……こんなにひどい幽霊屋敷を見たのははじめてですわ」
あたしと麻衣は顔を見合わせて、取り敢えず顔色の悪い真砂子を休ますためにベースへと向かった。
道中、麻衣が真砂子を支えていたが、その間もずっと真砂子は顔色が悪かった。
「だいじょうぶ?ベースについたよ」
「真砂子?やだ、どうしたのよ」
ベースに辿り着いてみると、真砂子は直ぐにナルへと視線を向けた。
すると真砂子はナルへと向かって倒れ込んだのである。
「原さん?」
「わあ……」
思わず呟いていれば、隣で麻衣が怒りの形相をしていた。
「なんですのこの家……墓場よりひどい……。まるで霊の巣ですわ」
「霊の巣……?」
私の問に、真砂子は青ざめた表情で小さく頷いた。