第2章 人形の家
その後、ぼーさんから驚愕する事を告げられた。
なんとミニーを入れていた箱は燃えたのに、ミニー自体は燃えなかったと。
つまりそれは、未だミニーの中に霊が入り込んでいるということだ。
「……わたし、お兄さんに連絡するわ。家を引っ越すことにします」
礼美ちゃんは泣き疲れたせいか、今は典子さんの部屋でぐっすりと眠っていた。
そんな彼女を見ながら典子さんが呟いた。
「そのほうがいいかも……」
そう呟いた麻衣の言葉を、ナルが遮る。
「……ポルターガイストのなかには家をかわってもついてくるものがあります」
「そんな……じゃあどうしろっていうんですか!?」
「おちついてください。……ぼくはこの家の所有者を遡ってみました」
ナルの言葉に『いつの間に』と驚いてしまった。
だがそういえば……と思い出す。
(ナル、ちょこちょこ出掛けてたよなぁ)
その時に遡っていたのだろう。
そう思いながら、ナルの言葉に耳を傾けた。
「まず、森下家が越してきたのが10ヶ月前。そのまえに渡辺という一家が三年間住んでいました。手放したのは仕事の都合」
「へんなことがあったとかじゃなくて?」
「ああ。そのまえが野木という家族。ここで9歳になる女の子が病死。そのまえは大沼家だが……ここで半年に3人の子どもが死んだ」
「3人!?」
「そんなにも!?」
「10、8、7歳の男2人、女一人。それぞれ病気や事故だが大沼家はこれを機に家を手放した。そのまえの村上家には15の娘がいたがこの子は無事。さらにまえは谷口家。この家の10代のこどもは3人とも無事だったが、遊びに来ていた親戚の子供が死亡。10歳の男子。そのまえの池田家では別の家に越してすぐに7歳の末っ子が死亡した。そのまえの家を建てた立花家、8歳の女の子が死亡。以上だ」
あたし達は唖然とした。
この家ではそんなに沢山の子どもが死んでいたなんて、思ってもいなかった。
だが一つだけ、ナルの説明の中でわかることがあった。
それはこの家では……。
「……もしかしてこの家、8歳前後の子どもがあぶない……?」
「10代の子は平気だけど……8歳前後の子はみんな、亡くなってるよね」
あたしと麻衣の言葉に、ナル以外の全員が顔を強ばらせた。