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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第2章 人形の家


「結衣ちゃん、礼美がねるまでいる?」

「いるよ。なんなら典子さんが帰ってくるまでいるからね」


椅子に座り、ベッドで眠っている礼美ちゃんの頭を撫でる。
最初はとても不安そうにしていた礼美ちゃんだが、あたしが何度も何度も頭を撫でてあげると、何処か安心した表情に変わっていく。

怖いのは当たり前。
今まで恐らくミニーは、彼女が怖がるようなことをしてきたはず。


(ミニー、ぜったいに許せない)


そう思いながら頭を撫でていれば、その手を礼美ちゃんが弱々しく掴んだ。


「結衣ちゃん、あした、礼美とあそんでくれる?」

「もちろん!麻衣にも言って3人で遊ぼうね」

「うん!」


暫くすると礼美ちゃんはスヤスヤと小さな寝息をたてながら眠りについた。
安心しきったその表情に笑みを浮かべて、ベースの様子が気になったのでそちらに向かった。


「お、結衣。チビちゃん寝たか?」

「うん。なんか、礼美ちゃんに護符?みたいなの持たせない?ミニーのこともあるから不安なんだけど」

「確かに、持たせたほうがいいかもなあ……。つーか、全部原因がミニーとはなあ」


ぼーさんは大きく息を吐いた。
確かに、今までの事の全ての原因がミニーだなんて誰も思っていなかったのだから。


「以前の持ち主が病死して、その霊が憑いてるとかかな」

「だからアタシ人形ダメなのよ〜!」

「ミニーのせいじゃないと思う」

「おいおい、ナルちゃん」

「人形は器に使われているだけだろう。この家にとらわれてる霊がいるんだ。それがだれなのか……なんとかして正体をつまかないと礼美ちゃんがあぶない。とりあえず結衣、典子さんが戻ってくるまで礼美ちゃんのそばにいろ」

「そのつもり」


じゃあ、また礼美ちゃんの元に行こう。
そう思ってベースを出ようとした時……。


「結衣ちゃん!麻衣ちゃん!ふたりともきて!!」


典子さんの声が聞こえてきた。
いつの間にか帰ってきたのだろうかと驚いてベースから出た。


「典子さんんいつ帰って……」

「これを見て!」


そこには典子さんと付き添いで行っていた香奈さんが、何かに怖がっているように顔を強ばらせていた。
なにがあったのだろうと、彼女達が見ている方向に視線を向けて唖然とした。
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