第2章 人形の家
「礼美ちゃん」
「やめてよ!」
「馬鹿ナル!礼美ちゃんを責めてどーすんのよ!」
麻衣が礼美ちゃんを抱き締め、あたしがナルの前に立つ。
いくらなんでもこんな小さい子を責めるなんてやりすぎだし、礼美ちゃんが悪いわけではない。
「どならないでよバカ!こんな小さい子泣かすなんてサイッテー!」
「もっと違う聞きたががあるでしょうが!どなるなんて本当にサイテーだからね!」
「そういう問題じゃないだろう!」
「「そういう問題だよ!」」
あたし達とナルが騒いでいると、礼美ちゃんが小さな声で何かを言っていた。
それを聞き取ろうとあたし達が黙ると、彼女は泣きながら謝罪をしていたのだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい!ミニーが……ほかのひとにはなしちゃ、ダ……ダメって。なかよくしたらいじめるって、だから……」
麻衣は更に強く礼美ちゃんを抱き締め、あたしは小さな頭を撫でて2人してナルを睨む。
「……ミニーが、しゃべりはじめたのはいつ?」
「……おうちにきてから」
「最初はなんて?」
「おかあさんはわるいマジョだって。おとうさんはケライだって、ふたりで礼美をころすよって。おねえちゃんもマジョのみかただって。ミニーがまもってくれるから、そのかわりだれともなかよくしちゃだめだって……」
礼美ちゃんの言葉に眉を寄せた。
まさかミニーがそんな事を言っていたなんてと。
「礼美がやくそくわすれておねえちゃんとあそぶと、ミニーがものをかくしたりおへやをちらかしたりするの。おしおきだよって」
その言葉に恐怖より怒りが増した。
こんな幼い子を脅すなんて、ミニーはなんてやつなんだと。
同時にポルターガイストの犯人がわかった。
今までのポルターガイストの原因は全てミニーだということを。
「それからミニーがほかのお友達をつれてくるようになった?」
「うん。いっぱいるの、礼美ぐらいのこ。みんな、ミニーのケライなんだよ」
礼美ちゃんから話を聞いてから、あたしは彼女の傍に残る事になった。
一人にするのは不安だったのと、礼美ちゃんが『怖い』と言ったから、あたしが残ることになったのだ。
確かに、礼美ちゃんは怖いはず。
話しちゃダメということを、あたし達に話したのだから。