• テキストサイズ

ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第10章 悪夢の棲む家


そんな彼らを広田は静かに睨んでいた。
怪しいものを見るような目、胡散臭い物を見るような目に近いもので睨んでいる。


(……心霊現象だの超能力だの。そんなまやかし事がこの法治国家で通話すると思うな。すました顔をしていられるのも今のうちだけだ。必ずお前の尻尾を捕まえてやる……!)


✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳:✳


依頼主の翠と広田が帰った後。
結衣は溜息を吐き出しながら、呑気に自分や麻衣に注文した紅茶を飲んでいるナルを見た。


「いやぁ。渋谷さん達が戻ってきてそうそうに依頼だなんて」

「忙しくなりそうだねぇ」

「でもさぁ……あの広田さんって人、全くもって幽霊だの超能力だの信用してないんだね。なのになんでココを阿川さんに紹介したんだろう」


結衣は二人が帰っていた事務所の扉を見る。
翠はあれだが、広田は完全に信用していない人間の発言と態度であった。
それはのに心霊現象を調査するこの『渋谷サイキック・リサーチ』通称『SPR』を何故紹介したのか。

色々疑問だな。
そう思いながらもう一度溜息を吐き出した。


「たしかに。誰のツテで知ったのかなあ……」

「不思議だねぇ。ね、ナル」

「別に、僕はそんなことはどうでもいい」


散々な事を言われたのにこの御仁は……と双子は呆れたような目でナルを見た。


「それよりもだ。一応ぼーさん辺りに協力を求めよう」

「ぼーさんに?」

「ああ。今のところ、騒霊現象よりも機械トラブルのような可能性はある。だが念の為にぼーさんを呼ぼう。結衣、今からでも連絡を」

「はーい」

「長電話しすぎて、電話する理由を忘れるなよ。恋人同士の電話はまた別の時にしてくれ」


結衣はスマホを取り出し、それを危うく落としそうになり慌てた。
そして顔を真っ赤に染めながら、口をまるで金魚のようにパクパクとさせている。


「な、なんでナルが知ってんのさ!?」

「まどかから聞いた」

「森さんのおしゃべり〜!!」

「いいから電話」


結衣は顔を真っ赤にさせながら、所長代理としていた森まどかを少しだけ憎んだ。
/ 633ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp