第1章 悪霊がいっぱい!?
「帰ったわよ。……ねえ、ちょっとヤバい感じと思わない?除霊も全然効き目ないし、アタシたち身の安全を考えるべきじゃない?」
「巫女さん逃げるんだー?」
「へー!あれだけ強がってたのに逃げるんだねー!」
双子は綾子の言葉にニヤリと笑う。
だがそんな双子に綾子は食ってかかるように、顔を近づけて叫ぶ。
「だったらなによ!あんたらのボスだってガラス割れたの観て逃げたのかもよ?今ごろ家で震えてたりしてね!」
「ナルがー!?」
「本気でいってんのー!?」
あのナルが家で震えたりするわけがない。
そんな姿想像出来るわけが無いと、結衣と麻衣は叫んだ。
「わっかんねーぞ。ふとんかぶって泣いてたりしてな。昼間おれたちがいじめたから」
「あの、とんっでもなくエラソーで自信家の天上天下唯我独尊的ナルシストが!!?」
「そんなことあるわけないじゃん!!ナルだよ!?」
「渋谷さんの場合、おこってワラ人形でも作ってるゆうのんのほうが似合ってますね」
ジョンの言葉に全員がその場面を想像した。
あのナルシストのナルが、藁人形を制作してそれを釘で打っている姿。
想像した瞬間、全員が吹き出していた。
「いえてるーっ!」
「やめてよーっ!」
「あーもー、自分の想像力がこわいわ、おれ」
「ナルがワラ人形っ……!」
ひとしきり笑ってから、一同は一度解散することにした。
結衣と麻衣は一回家に急いで帰ると、学校の準備をしてから学校に戻った。
麻衣は自分の教室に、結衣も自分の教室へと向かった。
急いだおかげで2人はどうやら遅刻することはなかったらしい。
「おはよー、結衣」
「おはよー」
席に着いて、未だに痛む後頭部をさすっていた時だった。
「谷山」
担任に呼ばれて、そちらへと視線を向ける。
「校長室に来なさい」
まさかの校長室に呼び出し。
何かやからしただろうかと結衣は不安になりながら教室を出ると、隣のクラスからちょうど麻衣と黒田が出てきた。
「麻衣!」
「あれ、結衣ももしかして校長室?」
「うん」
「そういえばさ、なんかナル、ミチル達に電話かけてたらしいよ。旧校舎のことやあたし達のことに黒田さんのことを聞いてたらしい」
「は?なんで、また……」
「さあ?」