第1章 悪霊がいっぱい!?
何故、行方不明になったかと思えばミチル達に電話していたのだろうか。
結衣は首を傾げながらも、麻衣と黒田とともに校長室へと赴いた。
校長室の扉をノックして『失礼します』と緊張した声色で中に入る。
するとそこには行方知れずだったナルの姿があったのだ。
(ナル!?て、あたし達だけじゃなくてぼーさん達までいるし。しかも真砂子も……)
そこには今朝別れたばかりの法生達、そして久方ぶりに見る真砂子の姿までがあった。
「座りなさい」
校長に促され、3人は用意されていたパイプ椅子に腰掛ける。
「今回の事件の関係者はこれだけですね?では、少しお時間をいただきます」
ナルはそういうなりカーテンを締め、校長室の明かりさえ消した。
テーブルにはライトがあり、ナルはそれを付けたが、そのライトは明かりが消えたりついたりと繰り替えしている。
「光に注目してください。……光にあわせて息をしてください。ゆっくりと、肩の力をぬいて……」
不意に結衣は眠くなってきた。
昨夜のこともあり、きちんと眠れていないせいかもしれない。
そう思いながらもライトを見つめる。
「自分の呼吸が聞こえますか。心の中で呼吸を数えてください」
徐々にナルの声が遠くなっていくのを感じた。
今夜、なにかがおこります
旧校舎の二階にあったイスです
イスが動きます……
今夜は旧校舎の実験室の中にあります
(イス……実験室……イスが動く……)
ナルの言葉を復唱した時、勢いよくカーテンが開いて眩い光が目を刺した。
「けっこうです。ありがとうございました」
一体なんだというのか……と結衣は思いながらも、不意にナルが触れているものに目が向いた。
そこには旧校舎にあったイス。
ナルはその後、なにも説明することなく校長室を出ていった。
その後を麻衣と結衣は追いかける。
「ナル!」
「ちょっと待って、ナル!」
「きのうどこ行ってたの?」
「……いろいろと。2人ともケガをしたそうだな」
「たいしたことないよ。ね、結衣」
「うん。ちょっとタンコブができたぐらい。ていうか、さっきのなんなの?」
「それより2人とも授業に戻らなくていいのか?」
「「そんなもん!」」