第8章 呪いの家
「動物の気配はしませんでしたわ。お店にも塚にも。霊はよく嘘をつきますし、人の目にうつる時は獣の姿をして見える事が多いので」
「他には」
「霊の気配は沢山感じます。どんな霊なのか分かりませんわ。ただ……一種の浮遊霊なんじゃないですかしら」
「……真砂子、それは今回もわからんってことか?」
法生が困ったように聞けば、真砂子は機嫌を損ねたのかそっぽを向いてしまう。
最近だか真砂子は霊が見えない事が多く、結衣も『またかぁ』と頬をかいていた。
霊視出来るのは真砂子だけ。
頼りにしている所があるのだが、こういうのが多くて全員が困り顔を浮かべてしまっているのが多々ある。
「──ここは変な場所ですわ。良い感じもしないけれど、かと言って悪い感じもしません」
真砂子の台詞に双子が顔を見合わせる。
その台詞は夢の中でナルが言っていたのと同じだったのだ。
「家の中にも奇妙な力を感じましたけど、とても悪いものととても良いものが混じりあった感じでしたの。こんな感じは覚えがあるのですけど……」
「も、もしかして霊場?」
麻衣が恐る恐ると聞けば、真砂子は少し目を見張った。
「……そう、そうですわ。それも以前アメリカでインディアンの霊場に行ったことがあるのですけど、そこの感じにとても良く似ています」
「真砂子外国行ったことあるの?」
「しかもアメリカ!?」
「一度だけ……ASPRのお招きで降霊会をしたことがありますの」
「「ASPR?」」
双子が揃って首を傾げる。
SPRならばアルバイト先ではあるが、ASPRは聞いたことがない。
「アメリカ心霊調査会のことですわ。その時にインディアンの聖地というか、そういう場所に行ったことがございますの。そこは精霊に守られた神聖な場所であり、汚す者に災厄をもたらす祟りの震源地でもありますの。たくさんの霊が浮遊していて……あの場所の感じによく似ていますわ」
霊魂の集う場所。
ナルが言っていた通りの言葉であり、双子は目を丸くさせながら真砂子の話を聞いていた。
一方法生は、何かを考え込んでいた。
そして口を触りながらポツリと呟く。
「……やっぱりどうあっても洞窟を見ないとな」
法生の言葉により、一行は洞窟に向かうことに。
彰文が先頭に立ってから案内をしてくれたのだが……。