第8章 呪いの家
「──……なっんだ〜〜びっくりたしあぁ〜〜」
「はああ……びっくりしたぁ。えっと、もしかして克己くんと和歌子ちゃん……かな?」
「どうしたの?こんなところで」
あたしと麻衣が尋ねると、二人はコソコソと話し出す。
そしてこちらへと視線を向けてきた。
「……おねえさんたち、ぜんぶでなんにんいるの?」
「え?」
「なんにん、いるの?」
「……六人だけど……」
麻衣が答えると、克己くんと和歌子ちゃんは目配せする。
「ろくにん」
「おおい」
「たいへん」
コソコソと話しているから、それだけしか聞き取れない。
だが彼女たちはクスクスと笑いながら、こちらを見ている。
「いこ」
二人はあたし達に背を向けてる歩き出した。
「あっ、ね……ねえ。ちょっとまって。あの……」
「ろくにんなんでしょ?」
「そうだけど……なんでそんなこと聞くの?」
「なんで人数なんか聞くの?」
「おねえさんたちはきにしなくていいの!」
和歌子ちゃんと克己くんはクスクスと笑いながら、歩いて行ってしまった。
そんな二人の後ろ姿を見送り、あたしと麻衣は顔を見合せてから眉を寄せる。
「なんだろう……なんかイヤな感じがする」
「うん。彰文さんが言いにくそうにしてた理由がわかる気がする」
「何処がどうって言えないけど……何かがすごく妙だよね」
「うん……」
そんな時だった。
「キャアアアッ!!!」
母屋の方から悲鳴が聞こえた。
「結衣、麻衣!」
悲鳴が聞こえたのか、ぼーさんたちが慌てた様子でベースから飛び出してきた。
「ぼーさん!」
「今、悲鳴が……!」
「聞こえた!母屋だ!」
慌ててあたし達は母屋へと走った。
そして悲鳴が聞こえた部屋にぼーさんが勢いよく障子を開けて飛び込む。
「どうし──!」
部屋を覗くと、栄次郎さんが額から血を流して折れた包丁を持っていた。
それを泰造さんと和泰さんが羽交い締めにしている。
そしてTVや机は壊れていたり傷だらけになっていて、荒れている状態だ。
「ガアアアッ!」
栄次郎さんは叫び、部屋の隅に彰文さんと光可さんと裕恵さんが唖然としながら座っている。
「な……なに?なにが──」
「え、栄次郎さん……?」
栄次郎さんは血を流しながら、目を向いて叫んでいる。