第8章 呪いの家
机に綺麗な食事が運ばれてくる。
お膳に乗った料理達はどれも美味しそうで綺麗で、とてもではないが普段では食べられないようなものだった。
(おいしー……!こんなのなかなか食べられないよ!)
嬉しくてつい笑顔を浮かべながら食べてしまう。
そんな時、隣に座っていた麻衣が『あれ』と声をあげる。
「どうしてリンさんはお料理違うの?」
その言葉に麻衣の左隣に座っているリンさんのお膳を覗く。
確かにあたし達と料理が違っていて、お野菜ばかりの料理となっている。
「本当だ。違う……」
「渋谷さんと林さんは肉類を召し上がらないとお聞きしたので、献立を変えさせていただいたのですけれど……違いましたか?」
「えー?リンさんお肉食べないの?ぜんぜん?菜食主義ってやつ?」
「ええ」
「へー……そうなんだぁ」
ということはナルも菜食主義なのだろう。
なんでだろうかと首を傾げていれば、裕恵さんがリンさんの少し後ろに座って尋ねた。
「何か少しお持ちしましょうか?せっかく海の傍にいらしたんですから」
「調査の時には精進潔斎しておくことにしていますから」
「まあ……霊能者の方もたいへんですね」
裕恵さんのその言葉に、ぼーさんと綾子は気まずそうにしている。
リンさんと同じ霊能者なのにお酒と肉類を食べているからだろう……。
それにしても……とリンさんとナルを見る。
今まで彼らとは食事を取ったことがなかったから知らなかったけれど、また一つ彼らを知れたなと料理を摘んだ。
日没。
夜になってからあたしたちはベースで設置したカメラを見たり、ナルは見取り図を見たりとしていた。
「今夜から動きあると思う?」
「どうかな。一体何が起こるのか手がかりが無さすぎる。明日にでも地元の図書館へ行ってみるんだな」
「それはあたしらに行けと?」
「──ぼーさん。葉月ちゃんに護符は?」
あたしの言葉を無視してナルは見取り図を見ながら、ぼーさんへと声をかける。
「ばっちし。部屋に結界もはってあります、ボス」
ナルは頷きもせずにまた見取り図を見つめている。
そんな彼に溜息を吐いていれば、部屋の扉がノックされて彰文さんが入ってきた。
「お疲れ様です。お邪魔してもいいですか?」
「彰文さん」
「どうぞどうぞ!」
「お茶をお持ちしました」