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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第7章 血ぬられた迷宮


「……原さん。ここで降霊術をやれる自信はありますか?」

「──……ありますわ」


降霊術……つまり、真砂子に霊を憑依されるということ。
あたしと麻衣はその言葉に目を見開かせてから、麻衣は真砂子の前に飛び出してあたしも同じように出る。


「ちょ……ちょっとまって。それって真砂子に霊を憑依させるってことでしょ?」

「真砂子に霊を憑依させて、怖い思いをさせるってことだよね?あたしや麻衣みたいに怖い夢を見せることになるんだよ!?」

「麻衣、結衣……?」

「麻衣、結衣。原さんはプロだ」

「プロだろうとあんな経験させらんない!」

「あたしと麻衣は反対だからね!」

「麻衣、結衣!」


ナルは反対するあたし達を叱りつけるように名前を呼ぶ。
だがあたしも麻衣も、真砂子に降霊術をさせるつもりなんてサラサラないのだ。

あんな思い、させたくない。
自分が殺されるような経験なんて味わない方がいい。


「ナルに自分が殺される気持ち分かる?自分が死んでいく瞬間の気分が想像出来る?どんなに怖いかわかる!?あたし、絶対に真砂子に降霊術なんかさせないからね!」


麻衣が叫んだ時、ナルの表情が暗くなった。
一瞬だけ、なんともいえない表情を見せていたが直ぐに彼のいつもの無表情の表情に変わる。


「……ナル?」

「──仕方ない。多少不確実な方法になるが……リン」

「はい」

「呼べるか?」

「やってみましょう」

「リンさん!」

「リンさん、やるの……!?」


まさかの、リンさんが降霊術をやるということに驚く。
もしかして真砂子と同じように憑依させるのだろうかと、不安な気持ちが大きくなった。


「ご心配なく。霊を呼んでみるだけです。わたしは霊媒ではないので霊を憑依させることはできませんから」

「そう、なんだ……」

「ただ、ナル。わたしにはここで過去に殺された霊を呼ぶことはできません。今呼べるのは、死んでいると仮定してここで消えた三人の人間それだけです」

「かまわない。やってみよう。カメラの準備をする。ぼーさん、ジョン、手伝ってくれ」


ナルはきびきびと動いている。
相変わらず仕事人間だと思っていると、麻衣が少しだけ申し訳なさそうな表情を浮かべているのに気付いた。
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