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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


「……でも黒田さんが感じてるだけで」

「わたし、さっき襲われたの」

「え!?」

「うそ!」


まさかの言葉にあたしと麻衣は目を見開かせる。
だが黒田さんは堂々とした表情で、襲われた経緯を話してくれた。


「ホントよ。廊下を歩いてたら急に誰かがすごい力で髪を引っ張ったの。逃げようとしたら首を絞められて」


オマエノ霊感ハ 強イカラ ジャマダ……


本当にここには何かいるのかも。
じゃなきゃ黒田さんが嘘を言っていることになるが、嘘を言っているような様子じゃない。
これはナルに言った方がいいかも。


「どうした?」


突然聞こえてきた声にギョッとすれば、そこにはナルの姿。


「ナル!」

「ちょうどよかった!」

「は?」


あたし達は黒田さんの話をナルにした。
すると彼は何かを考え込むような素振りをしてから、機材へと近づく。


「……それはいつごろ?」

「さっきよ」

「ビデオを再生してみよう。場所は?」

「三階の廊下」


ナルは無言でビデオを巻き戻し始め、昇降口の様子の動画を流し始める。
ビデオにははっきりと黒田さんが映っていて、彼女はゆっくりとした足取りで階段を上がっていく。


「こっち!」


麻衣が指さすTVには階段をあがってきている黒田さんの姿。
だが数秒後にその画面は砂嵐になってしまい、なにも映っていていない。


「画面が砂嵐に……」

「なにこれえ!壊れてんじゃないのー?」

「……他のものに異常はないな。カメラが壊れているはずもない。意味深だな」

「意味深?」

「なにが?」

「霊が現れるとえてして機械は正常に起動しなくなる。これはどっちだろう。霊か電波障害か、あるいは……。声がしたといったね。それはどんな?」


ナルは淡々とした口調で黒田さんに質問していく。
そんな様子を見ながら、あたしは未だに砂嵐になっている画面を見つめていた。


「かすれてたけど……女のコの声だったと思うわ」

「でも、真砂子な霊はいないって」

「原さんて本当に霊感あるのかしら」

「女性の霊媒というのは好・不調の波が激しいのがふつうだ。彼女の才能は信用できると思ったんだが……それともここに霊がいたとして、その霊は君とひどく波長があうのかもしれない」

「……そうかもね……」
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