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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第1章 悪霊がいっぱい!?


ナルの言葉に黒田さんは笑みを浮かべる。
何処と無く嬉しげにしている事に眉を寄せていれば、廊下の方からガヤガヤとした騒がしい声が聞こえてきた。


「なんだろ?」

「ナル。なんか、巫女さんが……」


昇降口には巫女さんが巫女の服を身にまとい、そして校長や他の教師たちまでもがいる。


「そういえば巫女さん、今日祓うとかいってたよね。今からなのかな?」

「そうだろう。行ってみるか」


昇降口に向かえば、そこにはぼーさんとジョンに真砂子の姿までもあった。
巫女さんはあたし達の姿を見ると小さく笑う。


「まあよく見てるのね。軽く祓ってやるわよ」


巫女装束というのに相変わらずの派手な化粧である。


「ほんとにできんのかねえ。ま、見物ぐらいしてみるか。ボウヤはどうする?」

「……神道式の除霊というのは見たことがないな。見てみようか」


巫女さんは紙がふわふわしている木の棒のようなものを手にして、それを揺らし始める。
ジョンに教えてもらったが、あれは御幣というらしい。


「つつしんでかんじょうたてまつる。みやしろなきこのところにこうりんちんざしたまいて しんぐのはらいかずかずかずかず たいらけくやすらけくきこしめてねがうところをかんのうのうじゅなさしめたまえ」


巫女さんが何やら呪文めいた言葉を口にする。
ずっと聞いていたらなんだか眠たくなってしまいそうだ。


「これなに?なんていってるの?」


眠くなりそうなあたしと違って、麻衣は巫女さんの言葉に首を傾げてよこにいたナルに質問する。


「黙ってろ。日本人のくせに祝詞も知らないのか」

「ノリト?」

「神道の呪文そういうもの」

「ふーん」

「なんか、眠くなりそう」

「結衣、国語とか古典とか嫌いだもんねぇ。眠くなるって」

「それでも日本人か」

「う、うっさいなあ!」


どうしても国語とか古典は眠くなってしまうのだ。
つまらないというか、あのゴニョゴニョとした文字ばっかりなのを見ていると眠くなる。


「ちはやふるここもたかまのはらなり あつまりたまえよものかみがみ なむほんぞんかいまりしてん らいりんえこうきこうしゅごしたまえ」


眠くなりそうな祝詞というものは暫くして終了した。


「これでなんの心配もありませんわ」
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