第6章 禁じられた遊び
「蠱毒というのは既に失われたとされている呪法です。わたしも今まで、蠱毒には出合ったことがありません。この蠱毒が呪詛として行われているのなら、それたんなる呪詛と同じです。打ち破るのは簡単ですが、偶然の産物だとしたら───逃れる為の方法は二つだけです」
「誰かに転嫁するか、諦めてやしなうか……」
「はい」
「そんな……」
逃れる方法は絶望的な物しかない。
転嫁しても死人が出て、やしなっても死人が出てしまう。
「───まだ、蠱毒だと決まったわけじゃない。これが呪詛ならリンが始末をつけられる。ギリギリまで調べてみよう」
その後、ナルは調査を続けるために校長の元に向かった。
調査を続けるには『帰れ』と命令してきた校長の許可が必要だから。
「───ナル……うまく校長先生を説得できるといいね」
「そうだね……」
「学校から追い出されたらアウトだからなー。ま、ナル坊なら大丈夫だろ。しっかし調べるたって何をどう調べりゃいいんだかニャー」
ナルはあたし達に今回のが本当に蠱毒なのかを調べるように言い残した。
「頭使いなさいよ」
「そういうお前こそ……っと、おまえにゃ使える頭がないだっ……」
余計なことを言うからぼーさんは綾子に殴られた。
緊張感がない二人に溜息を吐き出し、あとは放っておくことにする。
やりすぎだとなった止めに入ればいいし、現にジョンが止めに入っているから大丈夫だろう。
「取り敢えず事情を整理してみましょうか。なにもしないよりマシでしょう」
「……うん……」
「大人二人が何してんだか……」
溜息をまた吐き出しながらも、あたし達は安原さんの言う通り状況を整理することにした。
「……まず、夏休みが終わったころ学校でコックリさんが流行りはじめて」
「そのあと校内に怪談が溢れたんだよね」
「んと、たまたま学校が霊的に閉ざされた場所だったから呼び出された霊が閉じ込められて……」
「霊同士が食い合って蠱毒の状態になってしもたんですね」
ここまでは分かっている。
この後がわからないものだ。
「……これじゃただの伝言ゲームですねぇ」
安原さんの言葉にあたしと麻衣とジョンは苦笑する。
「……あたし思うんだけど、やっぱりヲリキリさまって変わってるよね。呪文もへんだし」