第6章 禁じられた遊び
「病院で診てもらったほうがいいんじゃねぇか?」
「大丈夫だよ。やー、まさか天井が落ちるとは」
麻衣は何かを思い出したのか、何故か顔を真っ赤に染めている。
(そういえば、助け出される時麻衣はナルに押し倒されているような……覆いかぶさられてたんだよね)
少女漫画とかでありそうな展開である。
だが人が涙目になっている時に、顔を真っ赤にさせるのはどうかと思う。
あたしは苛立ちを覚えながら麻衣の頬を抓る。
「いだっ!?」
「人が心配してんのに……」
思ったより拗ねた口調であった。
「しっかし冗談じゃねぇぞ。部屋一つ分の床を沈没させるなんて並の霊に出来るこっちゃない」
「……つまり、相当強力ってことですか?」
「強力ってより凶悪だ」
ぼーさんの言葉にあたしと麻衣は顔を見合わせる。
夢の中でナルが言っていた『孵化』という言葉。
「───孵化……したんだ」
「え?」
「今まで眠ってたの、鬼火は。でも孵化したの……」
「力を蓄え終わって孵化したんだよ。だからもう……」
もう誰にも 手出しはできない
✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴*✴
ー翌日ー
「か、『帰れ』って……調査の途中なのに?」
「なんで!?」
「会議でそう決まったんだとさ」
宿直室で休みを取っていたあたしたちは、翌朝になって会議室に向かってから衝撃の言葉を聞かされた。
「この状態のままほっぽって帰れっての!?」
「凄く危険な状態なんだよ!?」
「でもなあ」
『ここまで事態が悪化したのは、あんた達が中途半端に手を出したからじゃないのか!?』
校長からの言葉だったらしい。
今回の騒動で余程頭にきたのか、あたし達に帰るように命令を下したのこと。
「……まあ、依頼人にそう言われちゃ引っ込まなきゃしゃねえだろ」
「そんなこと……ナル!いいの!?」
麻衣の言葉にナルは無言だった。
無言は肯定という意味なのだろうか……あたしと麻衣は焦り始めてしまう。
「───だっ……だって……あれがいるのに」
「あんなの置いて帰るなんて……」
孵化してしまった、黒い鬼火。
あんなものを放置していれば、もっと最悪な結末を迎えてしまう。