第6章 禁じられた遊び
「結衣!?オマエ、何やってんだ!?」
会議室からぼーさんが出てくる。
その後ろに真砂子もいて、あたしの元に慌てて駆け寄ってきた。
「ぼーさん!二階の渡り廊下と2ー3に近づいちゃ駄目ってナルに伝えて!あそこに鬼火がいる!」
「鬼火?」
「今、ジョンと安原さんが印刷室の方に向かってるでしょ?綾子に行ってもらって、止めてもらってるの。あそこにも鬼火がいるの」
あたしを支えている真砂子と、驚いた表情をしていたぼーさんは頷き合う。
そしてぼーさんは慌てて会議室に飛び込んでいき、直ぐにナルが出てきた。
「鬼火は印刷室と二階の渡り廊下と2ー3だけか?」
「あと保健室!麻衣がいるから、誰か行って連れてきて!」
「ぼくが行こう。ぼーさんと原さんは会議室に残って、結衣と一緒にいてくれ」
「大丈夫なのかよ、ナル坊だけで!」
「麻衣を連れてくるだけだ。長居しないようにする」
ナルは無表情のままだが、慌てたように保健室の方へと走っていった。
あたしは真砂子に支えられながらも会議室に入り、ジョンたちが戻ってくるのと、麻衣とナルが来るのを待っていた。
まさか、保健室であんな事が起きているなんて思いもせず……。
「……ごめん!やっぱりあたしが一緒にいるべきだった!それか連れてくるべきだった!」
「謝んなくてだいじょーぶだって、結衣」
あたしは麻衣に抱き着きながら、涙目になっていた。
「まさか、保健室の床が沈んで天井が落ちてくるなんて思ってもなかったし」
そう、あたしが保健室を離れてから直ぐに麻衣は霊に襲われてしまったのだ。
保健室は無惨な姿になっていて、床は沈んでいて天井が落ちてきたという始末。
幸いと言っていいのか、天井が落ちてきた時にナルが麻衣に覆いかぶさって守ってくれたので麻衣には大きな怪我はなかった。
ナルと二人揃って擦り傷程度である。
「……もー、なんでアンタはしょっちゅう怪我するのよ!ナルも!無茶しないでよ。二人とも擦り傷で済んで良かったけど」
「……こういう建物の天井なんてヤワな板がはってあるんだ。大したことない」
「大したことないじゃないよ!怪我しちゃってるんだから!」
あたしが涙目でナルを睨むと、彼は小さく息を吐いてから肩を上へと上げる。