第6章 禁じられた遊び
これがいつもの夢ということは、きっとナルが現れるはず。
現実では見たことの無い優しい笑顔を浮かべて、麻衣が戸惑い赤面してしまうナルが。
麻衣も同じことを思っていたのか、辺りを見渡していた。
そしてあたしも見渡せば黒い姿を見つけた。
(やっぱり……)
真剣な表情のナルがそこにいた。
「……そこは危険だ。とても危険な場所なんだ。二人とも起きて……出るんだ」
「起き……って、もしかして保健室……?」
「保健室が危険ってことなの?」
ドクンと心音のようなものが聞こえてくる。
普通心音を聞いてもなんとも思わないのに、その音だけはどうしても気味が悪く感じてしまう。
何処からしているのだろうか……と思っていると、ナルが横へと視線を向けていた。
釣られて麻衣と共に横に視線を向ければ、そこには校舎があり、その中心に鬼火がいた。
「あれ……鬼火……?」
「なんだか、虫の幼虫みたい……」
虫の幼虫の周りに淀んだ光が集まっている。
(怖い……)
鬼火を見た瞬間、心の中で恐怖心が芽ばえる。
あれは危険なものなんだと脳内で警鐘が鳴っていた。
「いままでは眠っていた……だけど、ほかの人魂を食ってじゅうぶんに大きくなった。だから時期に孵化する。そうしたら、もう誰にも手出しできない」
「誰にも……」
「あれはいま全部で四つ。保健室にもいる。だからはやく出るんだ……いいね?」
ふと、とある二人が視界に入る。
視界の先にはジョンと安原さんがいて、彼らは大きな鬼火がいる印刷室へと向かっていた。
「やだ!まさかあそこに行くんじゃ……」
「止めなきゃ!じゃなきゃ二人が危ない……」
「あたし達戻るね!」
「……うん、気をつけて……」
意識が浮上する。
目が覚めたんだと自覚し、瞼を開いてから勢いよく飛び起きた。
「結衣、麻衣!?」
驚いた様子の綾子の声と共に、頭に鋭い痛みが走る。
それと同時に横にいた麻衣は気持ち悪さで倒れそうになり、綾子が抱きとめていた。
「こら!二人してなにやってんの、おバカ!」
「そ、そんなことより綾子!印刷室に!」
「は?急に何よ、結衣」
「一階の……印刷室にいって!」
あたしと麻衣が交互に叫ぶと、綾子の眉が寄る。