第6章 禁じられた遊び
ぼーさんが溜息を吐き出しながら、ベッドに腰掛ける。
あたしは痛む頭を撫でながら、何故保健室にいるんだろうと首を傾げる。
そして、隣のベッドで麻衣が寝ているのに気付いた。
「麻衣!?」
「あんた、覚えてる?ナルがなかなか戻ってこないって言うから、坊主が見に行ったら倒れてたのよ」
「え、あ……そーだ、そっだった。でもなんで麻衣まで?」
「麻衣も倒れてたのよ、生物室で。ホルマリンが大量に割れた中でね。あんたは、なんで倒れてたのよ」
呆れたような綾子は麻衣を見下ろし、そしてあたしへと視線を向けてきた。
あたしは痛む頭をもう一度撫でながら、LL教室で起きたことを説明する。
説明しながら、あたしは麻衣を見る。
何処と無く顔色が悪いのは、ホルマリンの匂いを嗅いだせいなのだろうか。
「LL教室に子供か……例の噂のだろうな」
「うん……真言唱えたらたぶん抵抗されたのかな?凄い勢いで突き飛ばされたよ」
「抵抗されたんだろうよ。ま、よく退魔法出来たな。偉いけど無理しすぎだな。なんで一人でウロウロしてたんだよ」
「あー、えっとお」
説明する前に、眠っている麻衣が唸った。
ナルは無表情で麻衣に近づくと、麻衣の名前を何度も呼ぶ。
「麻衣、麻衣。麻衣!」
何度か呼ぶと、麻衣の目が開く。
その事に安堵していれば、ナルが麻衣の顔を見下ろしながら呟いた。
「気がついたか?」
起きたらナルの顔が目の前にある。
そのせいなのか麻衣が勢いよく飛び起きてから、ふらりと倒れてしまった。
「……ぎぼぢばる"い"……」
「急に動くからだ、馬鹿」
「だって……うひゃ!?」
綾子が文句言いたげな表情で麻衣の額に、濡れたタオルを勢いよく落とした。
「綾子……」
そして麻衣は他の皆がいること、あたしがベッドで寝ていることに気がついた。
「結衣!?ここ保健室……?あれ、なんで結衣もベッドで寝てるの……?」
「あんたと同じで倒れてたのを運んだのよ。なんだって二人して一人で校内をウロついてたの」
「……だって……ビデオテープ……」
「テープ取りに行かないといけなくて……」
「テープぅ?ちょっとナル、どういうつもり!?一人でそんなもの取りに行かせるなんて!麻衣、なにがあったの言ってごらん」