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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第6章 禁じられた遊び


「あっ……う……」


頭を打ち付けたせいなのだろうか。
意識が朦朧としだしている、そして視界が徐々に霞んでいるのにも気づいた。

このまま意識を失ったら、どうなるんだろう。
そう思いながらもあたしはその場で意識を失った。






(あれ……?ここ、どこだろう)


暗闇の中に、あたしは一人座っていた。
麻衣もぼーさん達もいなくて、辺りを見渡すけれど暗闇が続いてるだけ。


(なに、してたんだっけ……?)


目を細めていれば、視界の端に人魂が泳いでいるのが見えた。
その人魂はあたしの足元にある、あの黒いやつに飲み込まれてしまう。


(どんどん、食べられてしまってる……)


そう、皆ああやって飲み込まれていく。
坂内くんもそうだった……と思ってた時、視界が一変する。


「あ、れ?」


誰かの部屋にあたしはいた。
あたしと麻衣の部屋でもなければ、見覚えのない部屋である。


「誰の部屋だろう……」


ふと、本棚が目に入った。
神秘学、オカルト、サイキック、高等魔術……まるでオフィスの本棚のようだ。


(ナルとかが読みそうな本だなぁ……)


だが、ふいに気付いた。
この部屋はとても寂しくて、ずっと誰も帰ってきていないような場所だと。


「……誰の部屋なんだろう」


机に手を置いて辺りを見渡していれば、手元に定期があるのに気付いた。
それを手に取ってから、あたしは目を見開かせる。


「サカウチ トモアキ……」


ああ、この部屋は坂内くんの部屋だ。


ポツリと涙が落ちた。
あたしは定期ケースを握りながら、涙を流してその場に蹲る。


「ごめんね……」


小さな声が漏れた。
そして、また口の中で謝罪の言葉を発した時、誰かに呼ばれた気がした。


「結衣、結衣!」


誰が呼んでるんだろう。
そう思っていると、頬に誰かが触れたような気がした。


「結衣!」


目が開いた。
そしてあたしの視界にはぼーさんが写っていて、思わず飛び起きてしまった。


「ぼーさん!?うっ!?」

「急に起きるな、馬鹿」

「……いだい……」


頭と背中が酷く痛む。
ふと、辺りを見渡せばナルや綾子に真砂子、ジョンと安原さんまでがいた。


「あれ……?ここって……」

「保健室だよ」
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