第6章 禁じられた遊び
またぼーさんはあたしの頭を撫でてから、安原さんの方へと視線を向けた。
「ちょっと気になることを聞いたんですけど」
「なんです?」
「ぼく、ヲリキリさまの発生ルートを辿ってみたんです。昨日谷山さん達と話してて引っかかったもので」
安原さんはポケットから小さなメモ帳を取り出す。
「ヲリキリさまが流行り始めたのは二学期以降みたいです。わかっているルートは二つ。一年生から聞いたというのと、美術部の奴から聞いたというものです。……それで、その……気になるというのが……死んだ坂内が美術部だったんです。いや、もちろん絶対意味があるってわけじゃないですよ。あくまで情報の一つです」
一年生から聞いたのと、美術部から聞いたルートの二つ。
そして坂内くんが美術部ということは、少なからず坂内くんがもしかしたら関係しているのかも……と考えてしまう。
「……意味があるにしろ無いにしろ、ともかくあれは二学期以降一年生か美術部の間から流行り始めたわけだ。それが学校中に広がって、無数の降霊術が行われた。それで呼ばれた霊が───」
「……いや、やはりおかしい。どれほどの降霊術を行った所でなんの訓練もしていない素人が、これほど大量の霊を呼べるとは思えないな」
「この場所が墓だったっていうのは関係ないですか?」
「……まあ、ありがちだわな」
安原さんの言葉に、ぼーさんは息を吐き出す。
確かに心霊番組でもよくそこは元は墓場だったとはある。
ありがちなものだ。
「あ、バカにしましたね。墓って言っても緑陵遺跡って奈良時代の墓地があったんですよ」
「なるほどな。古い墓地というのは霊が彷徨い出て、祟りを行わないように結界をひいた場所だ。呼び出された霊が結界のせいで出られなくなってしまった可能性はあるが……」
「こんだけの霊をなんで生徒たちが呼び出せのかゆう、カンジンの部分が謎のまんまですね」
「あーそっか。そうだよねぇ……」
「……どうも、わからないな。この学校は」
その日の夜のこと。
「うひ〜、夜の学校ってなんでこんなに怖いかねぇ」
あたしは現在一人で学校を歩いていた。
理由はナルからの命令でLL教室のカメラからテープを取ってくるよう言われたからである。
ちなみに麻衣は生物室の方に行っている。